多言語対応 — 市場を世界に広げる
00要約Overview
01動機Why
なぜ、多言語対応をするのか。個人開発は、そもそもニッチ戦略になる。大企業が狙わない狭い課題を拾うからこそ、個人でも戦える。しかしニッチは、1 つの国だけで見ると市場が小さくなりすぎる。日本では需要が少なくても、世界全体で見れば十分なユーザーがいることは珍しくない。(この「狭いニッチ × 世界」の考え方は 3.1.2 STP で詳しく書く。)
そして今は、AI 時代である。翻訳という、地味で繰り返し発生する作業こそ、AI が最も力を発揮する領域だ。多言語対応のコストは、大きく下がった。翻訳精度にまだ課題はある。しかし個人開発では、完璧な翻訳を待つより、まず世界中に公開できることの価値の方がずっと大きい。できるなら、やっておいて損はない。
02方法How
多言語化する対象は、3 つある。アプリ本体の表示文字列、ストアの申請情報、そしてスクリーンショット。それぞれの進め方は 1.2.1・1.2.2・1.2.3 で書く。
進め方には、2 つのコツがある。1 つは、まず 2 言語から始めること。1 言語だけで作る場合と、複数言語を前提に作る場合とでは、設計がまったく違う。しかし一度 2 言語に対応できれば、5 言語でも 50 言語でも、基本的な仕組みは変わらない。最初の 1 → 2 が、いちばん大きな段差である。
もう 1 つは、AI 翻訳を前提に「文脈」を残しておくこと。AI に単語だけを渡すと、それがどの画面の何を指すのか分からず、誤訳する。たとえば「Home」が家なのか先頭画面なのか、文脈がなければ判断できない。だから設計の段階で、各画面の説明・その言葉が何を意味するのかを書き残しておく。これが多言語対応の精度を左右する。
03価値What
多言語対応とは、翻訳作業ではない。
ニッチな価値を、世界という母集団に届ける仕組みである。
1 言語では小さすぎたニッチも、世界を母集団にすれば十分な市場になる。地味で膨大な翻訳作業は AI に任せ、自分は設計と最終確認に集中する。こうして、個人開発でも世界公開のドアを開けられる。