「あと5分」が永遠に終わらなくて、タイマーが鳴った後の方が長い、といううちの話です。PlanetLoopTimer は休憩時間を、子が自分で惑星を打ち上げて作るタイマー。勝手に数字が減っていく理不尽さがないぶん、終わりも受け入れやすい。声かけが「もう時間だよ」から「水星でいく? 海王星でいく?」に変わった、というあたりまで書きました。
「あと5分だけゲーム」
「もう5分経ったよ」
「いやいま、セーブできないとこ」
「じゃあセーブできたら」
(15分経過)
「セーブできた? もう寝なさい」
「あと1ボス、ほんとに1ボスだけ」
このテンプレ会話、うちでは完全に型として固まっている。
「タイマーかけたから自分で終わってね」と最初の頃は信じてたんですけど、結局終わらない。鳴った後の方が長い。鳴る前は静かで、鳴った瞬間から駆け引きが始まる。この「鳴った後の方が長い」、わかる人にはわかると思う。
ある日、ふと思った。この子はたぶん、タイマーの数字そのものに納得していない。
タイマーって、よく考えると、こういう装置です。
これ、子の側から見たら、自分が動かしてない時計に追い立てられる構造なんですよね。やる気とか我慢の問題の前に、「自分が主役じゃない時間」が流れてる。そこに不満が乗るのは、まあ自然な気もする。
逆から見ると、子が「あと5分」を引き延ばすのは、時間に対して自分の意思を取り戻そうとする抵抗、とも言える。
そう気付くと、「ただ強くタイマーを鳴らす」では解決しない。別の作りが要るな、と思いました。
うちで作っている PlanetLoopTimer は、ここから出てきたアプリです。
休憩時間を、子が自分で惑星を打ち上げて作る。
打ち上げ画面では、補助線で角度と勢いが見える。「ここ、こうやな」というタイミングで打ち上げると、惑星が太陽の周りを回りはじめる。
うまく打ち上がると、長く回る。失敗すると、すぐ太陽に落ちて短くなる。つまり休憩の長さは、アラーム任せじゃなく、自分の腕で決まる。
これだけで、子の中の納得感が違ってきました。「5分タイマーが鳴った」じゃなくて、「自分が打ち上げた惑星が、太陽に吸い込まれた」。同じ「終わり」でも、後者のほうが受け入れやすい。
惑星は、目標時間が近づくと、太陽の重力でだんだん引き寄せられて、螺旋を描いて落ちていきます。
「ピピピッ」じゃなくて、「あ、もうすぐ吸い込まれる」が、画面で見える形で来る。これが地味に効く。
普通のタイマーは、5分間ずっと「まだ全然ある」で、最後の1秒で急に「終わり」になる。これ、脳には不意打ちで、人は(子も大人も)不意打ちが苦手。惑星のほうは、減速して、螺旋に入って、吸い込まれる、の段階が見えるので、心の準備ができる。
やってることは、ただのカウントダウンを「距離が縮む」見え方に置き換えただけ。でも、その置き換えだけで体感は変わります。
惑星はそれぞれ軌道の大きさが違うので、目安の休憩時間を変えられます。
「ちょっと一息」なら水星、「読書1章ぶん」なら火星、みたいに用途で惑星を選ぶ。
不思議なことに、子の中では「5分のタイマー」より「水星」のほうが、同じ短さでもしんどくないみたいで。たぶん、数字じゃなくて対象として時間を見てるからだと思う。
おまけで、冥王星だけは重力を弱くしてあって、軌道さえ合えば、ずっと回り続けます。
休憩というより、純粋に「最長記録」を狙うゲームモード。
これがあると、「タイマーアプリを開く」こと自体がちょっと楽しくなる。普通の休憩のあとに「冥王星チャレンジしていい?」と子のほうから聞いてくるので、こっちが「タイマーかけて」と言わなくても、自分で開きにくる。
休憩の最後を、ちょっとした打ち上げゲームで締めると、次の宿題への切り替えがやりやすい、という副産物もありました。
普通の声かけって、こうなりがちです。
「もう時間だよ」「早く終わらせて」「あと1分だけって言ったよね」
うちもこれ、毎日言ってた。言うと、お互い疲れる。
PlanetLoopTimer に変えてからは、口から出る言葉が変わりました。
「水星でいく? 海王星でいく?」
これだけで、揉めない。本人が選んで、本人が打ち上げて、本人の腕で時間が決まる。揉める要素が、わりと消える。
タイマーを変えただけで、家の空気がちょっと軽くなる。劇的じゃないですけど、毎日のことなので。まあ、こんな感じです。