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思ってたご飯じゃない、それで全部ひっくり返す

2026-06-03

韓国に「泣く子は餅を一つ多くもらえる」という諺があるらしい。うちは逆。泣き叫んで通すのだけは、何があっても通さない。でも「これ苦手だから、少しでいい?」みたいな交渉はいくらでも聞く。騒ぐな、相談しろ。それだけ。…と書いてる本人が、たぶん一番しんどい。

夕飯を出した瞬間に、皿が飛んだ。

「思ってたご飯と違う」。理由はそれだけ。ギャーギャー言って、物を投げて、手がつけられない。こっちはもう、はい来た、っていう顔をしてると思う。

韓国の諺に「우는 아이 떡 하나 더 준다」というのがある。泣く子は餅を一つ多くもらえる、という意味らしい。泣いた方が得をする、と。
うちでは、これだけは絶対に認めない。

ごね得だけは、何があっても通さない

泣き叫べば自分の思い通りになる。それを一回でも学習させたら、たぶん終わる。日本語だと「ごね得」という言い方があるけど、ごね得だけは、何があっても通さないと決めてる。

ただ、勘違いされたくないのは、交渉のほうは全部聞いてるってこと。「これ苦手だから、少しでいい?」「味付け変えていい?」。こういうのは、いくらでもいい。むしろ歓迎してる。嫌なことがあったら、騒がずに、交渉しなさい。我が家のルールはそれだけ。食べなきゃいけない場面では嫌いな物も少しは食べさせるけど、それも「ひと口だけな」で話がつけば、それでいい。

イメージとしては、受付の窓口に近い。怒鳴り込んできた人を先に通したら、次から全員怒鳴り込んでくる。だから大声では番号を飛ばさない。でも、窓口そのものはいつでも開けてる。整理券を取って、普通に話しかけてくれたら、こっちはちゃんと聞く。

半分は理屈、半分は意地

なんでそこまで頑ななのかというと、半分は理屈で、半分は意地です。

理屈のほうは、行動の研究を少しかじると出てくる「間欠強化」という話。たまにしか報酬が出ない行動が、一番しつこく残る、というやつ¹。十回のうち一回でも泣いて通ったら、その「一回」を狙って延々と泣く設計になる。…こういうのを真顔で考えてしまうのは、たぶんアプリを作ってるエンジニアの癖で、子育ての正解として言ってるわけじゃない。人がどういう時に行動が定着するのかを知っておくと、アプリの設計が少し楽になる。その副産物みたいなものです。

「何を言われたか」じゃなくて「誰に言われたか」

で、最近はそこに反抗挑戦性障害 (ODD) というのが乗っかってきて、もう理屈どころじゃない。前にもどこかで書いたけど、うちの子は今、何を言われたかじゃなくて、誰に言われたかで反抗してくる。同じ「ご飯だよ」でも、言う人間が気に入らないと、それだけでスイッチが入る。

だから、なるべく口では言わない。アプリの力を借りて、こっちが言わなくても回るようにする。Todo を出すのも、半分はそのためです。でも、ご飯だけはアプリじゃどうにもならんのよ。皿の上のものが「思ってたのと違う」のは、通知じゃ防げない。

「大変」を超えてしまった、の話

夜、寝かしつけた後に ADHD の育児ブログとか経験談を読む。わかる、そうだよね、と思う。思うんだけど、最後に「大変だよね」っていう感想が、なぜか出てこない。大変、という単語を、もう超えてしまってる気がする。シンドい、のほうがまだ近い。

あー、しんど。

残骸でも、たぶん意味はある

うちでアプリをいくつも作ってるのは、結局「どうやったらこの子にハマるんやろ」という試行錯誤の、ただの残骸です。ハマったものもあれば、まったく見向きもされなかったものもある。
で、うちの子にハマらんかったやつでも、どこかの誰かの子にハマってくれたら、それでいいかな、と最近は思ってる。無駄に作ったわけじゃなかった、ってことにしたいだけかもしれんけど。

正直、これが正しい育て方なのか、今でも分からない。ごね得は通さない、の一点だけは曲げてないけど、それ以外は毎日ブレてる。

…まあ、明日のご飯も、たぶん何か飛ぶんやろな。

  1. Ferster CB, Skinner BF. Schedules of Reinforcement. Appleton-Century-Crofts, 1957. (variable-ratio / intermittent reinforcement — 不定間隔の強化が最も消去抵抗が強い)